「相双ふくしま子供病院」計画は、様々な「夢」を結集させて実現するつもりです。


医療者不足の地に「人」を一気に集める、24時間x365日の(外傷を含む)小児救急2次診療を担う、働く人たちが適正な休みをとりメリハリをとって働く、自然とITの両者をバランスよく取り入れる、病気でもそうでなくても子ども達が集える場にする、芸術・スポーツを含め多分野の人が交流する場を目指す、等々。

「丘」と「病院」を共存させる、という建設計画自体も、建築家にとっては「夢」(というより大きな挑戦)です。原型プランは建築素人である医師が言い出したものであり、それを具現化できるかどうかは建築家の腕にかかっています。寡黙な彼に代わって、現時点でのコンセプトを述べます。

1) 成長する建築
現代建築の多くは、最大50年の減価償却を見越して、スクラップ&ビルドを前提に作られています。一方、法隆寺や唐招提寺のように1000年以上経っても古びないばかりか、より価値を増す建築もある(適切なメインテナンスが必須)。欧州の石造りの建物も「古い」ことでは価値は減らない(内装は適宜リフォームされる)。高温多湿で天災の多い日本の環境下でも、なんとか「長持ちしつつ、それによって価値が増す」ような建築を作りたい。そして、融合した自然(樹木や草木)の成長に伴い、建築自体も「成長」するものを目指す。
2) 適正なコスト
あり得ないほどの資金を投入すれば、色々なものが作れる。けれど、それでは他に広まることはない。良いコンセプトのものを「適正なコスト」で作り上げることができれば、その経験は他者にとっても参考になり得る。

私自身は1)には完全同意するものの、「良いもの」を作るにはある程度のコストが必要だと考えてきました。けれど、建築家が2)を強く主張するのを聞いて、最近は「なるほど」と思っています。
(河村真)

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