相双ふくしま子ども病院の設立母体となる財団が設立されました。将来的には公益財団を目指します。財団定款より、代表の想いのこもった前文をご紹介します。

前  文
「一般財団法人相双未来基金」は,東日本大震災・津波・原発事故の多重被害を受けた福島県相双地域が,子供の未来を守りつつ,地域が誇りを持って復興するのを支えるために設立される。
喫緊の課題は,大震災後3年を経ても一向に改善されない,小児・周産期医療体制を確保することにある。福島県相双地域の小児・周産期医療については,以前から充実していたわけではないが,震災後に半数以上の産科医・小児科医が様々な理由で診療をやめ,今や残った少数の医療人たちが,骨身を削って日々の診療を支えている。
福島県の人口当たり産科医・小児科医数は全国平均よりはるかに少なく,中通り・いわき・会津の各地方を支えるため既に全力を尽くしている。このうえ相双地域を支えるまでの余裕はとてもない。福島県立医科大学は80人だった入学定員を130人に増員し,教育に心血を注ぎ,福島県の医療を支える若手医師たちの育成を図っている。10年後には,その成果が表れ,少しずつ産科医・小児科医不足は解消していくかもしれない。しかし,現場はその10年を待てる状況にない。

毎日のように子供が生まれているのに,産科医・小児科医が圧倒的に足りない。

この状況を打破するには全国・全世界からの英知と人材を結集するしかない。

「一般財団法人相双未来基金」は,「病気の時だけ」子供を支えるのでなく,「病気であっても,そうでない時も」子供の成長を見守り支えることで,従来の「病院」の枠を超え,子供の成長・人づくり・街づくり,そして地域の誇りの再生・発展を目指したい。
病院設立と,その安定的な診療維持を図るのはもちろんであるが,単に「医療」の枠をこえて,子供の身体・精神の育成,文化の醸成にも積極的に関わる。相双地域を中心とした福島県が,真の意味で震災・津波・原発事故を乗り越えていく一助になることを誓いつつ,「一般財団法人相双未来基金」を設立する。

河村真

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